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Web制作のTipsとかアレコレ。

稲城市HPのアクセシビリティが残念すぎて絶句(5)~まとめ~

2013.09.09

前記事までの流れ

稲城市HPのアクセシビリティが残念すぎて絶句(1)
稲城市HPのアクセシビリティが残念すぎて絶句(2)~高齢者には残念~
稲城市HPのアクセシビリティが残念すぎて絶句(3)~外国人にも残念~
稲城市HPのアクセシビリティが残念すぎて絶句(4)~若者にも残念~
稲城市HPのアクセシビリティが残念すぎて絶句(5)~まとめ~ ←イマココ

ということで、これまでの記事から、この稲城市役所ホームページがJIS規格等にとらわれない本質的な(ユーザビリティを含めた)ウェブアクセシビリティ実現に今より一歩近づく方法をまとめてみます。

  1. 文字拡大機能・外国語切り替え機能へのスイッチは全てのページの目立つ位置に配置。
    • ZoomSightを導入している為に外国語切り替え時に文字拡大機能が利用できないことは、他の方法(JavaScriptなど)による文字拡大機能を併用することで解決する。
    • (つまり、ZoomSightは文字拡大縮小機能以外での利用を主とする)
  2. 文字を含んだ画像リンクは極力控え、テキストによるリンクを基本とする。装飾はCSS3ですればよい。
  3. 外国人にとって重要なコンテンツは別ページにまとめ、日本語表示のままでも分かりやすい位置にリンクを張っておく。そのページの中で、公的な外国人サポート窓口の情報は特に目立つようにしておく。
  4. 他言語に切り替えた状態でも検索を利用できるようにする。
  5. スマホ版・ガラケー版は自動振り分けで自動的にそれぞれの専用ページに飛ぶようにする。

 

私はウェブのアクセシビリティに詳しい方ではなく、一ウェブ屋として感じたままを挙げただけですので、上記で全てだとも思っていませんし、逆に上の5点全てが絶対に正しいのだというつもりもありません。

ただ、自分が企画段階から制作に関わってたら、このあたりは見逃さないだろうな~、ということです。

(1)~(5)のうち、(4)以外は技術的に難しいことは何もないし、予算を食うかもしれないのは(3)と(4)ぐらい。ただし(3)に関しては、このウェブ案件の規模から推測される予算規模からすると、最初から予定しておけば見積もりは変わらないレベルでしょう。後で継ぎ足し発注すると追加料金を取られるでしょうけど。

(4)はJ-server Professionalというアプリケーション次第なので、技術的にも予算的にも私には分かりません。

 

さて、ここで稲城市ホームページのアクセシビリティについての記述を見ましょう。

本ホームページは、ホームページの考え方にある内容に基づき、2013年8月30日にリニューアルしました。
また、リニューアルに伴い、総務省「みんなの公共サイト運用モデル改定版(2010年度)」を活用し、「JIS X 8341-3:2010」達成等級AAに準拠しました。

この記述は、制作会社がプレスリリースで流したものと同じ内容ですね。

私自身が日本人で健常者でITリテラシーの高い部類の人間なので、どれだけアクセシビリティを語って良いのかは分かりません。特に視覚障害者の人々が日頃どうやってウェブ上の情報に接しているのかが分からないので、その部分の検証は全く出来ません。

そんな私が、特に深く分析をしたというわけでもなく、さらーっと見た範囲内でツッコミを入れざるを得ないと思った部分のみに言及しているに過ぎません。

という前提ではありますが、どうしても斬って捨てたい。斬りたい。捨てたい。捨て置きたい。

 

 

「ウェブアクセシビリティJISの等級AA(キリッ)」って何の意味があるの??

 

まさに詰め込みばっかりで考える力を育てないと言われる日本の教育の産物と言えるでしょう。

ほら、コレを見たらなんか学生時代を思い出すでしょ(笑)

checklist

http://www.city.inagi.tokyo.jp/this_hp/accessibility/checklist.htmlより

 

結局、アクセシビリティが多少良くなったのは事実でしょうけれど、ユーザビリティが悪いってのは全くもって良くないことで、私の解釈ではユーザビリティまで含めてのアクセシビリティだと思うんですよ。

事実、総務省の「ウェブアクセシビリティ対応の手引き」にはこう書かれています。

 

ウェブアクセシビリティとは、高齢者や障害者といった、ホームページ等の利用になんらかの制約があったり利用に不慣れな人々を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できることを意味します。

・ ウェブアクセシビリティに関する日本工業規格「JIS X 8341-3:2010」の序文には、この規格が「主に高齢者,障害のある人及び一時的な障害のある人がウェブコンテンツを知覚し,理解し、操作できるようにする」ための指針と書かれています

 

~中略~

 

ウェブアクセシビリティに対応することによって、高齢者や障害者だけでなく一般利用者を含めた使いやすさの向上につながります。

 

ユーザビリティも重要だという前提なのは間違いないですね。

 

それなのに、どうして「金返せ」レベルの初歩的なミスというか勘違いが多分に盛り込まれたホームページになってしまったのでしょう??

怖いのは、こういった不完全なアクセシビリティが模範とされて、また別の不完全なホームページが作られること、その連鎖です。

 

それは・・・血税で作られてます(^o^)

 

自治体ですから、ホームページにかかるような予算もそこの住民の税金から捻出されるでしょ。

 

そもそも、総務省の指針とかウェブアクセシビリティJIS規格なんてものがあるから、発注側・受注側双方が真剣に自分達の頭で考えることを止めてしまうんですよね。

自分達の頭で考えようと思ったら、実際の利用シーンを想定したり、窓口の人に尋ねたり、実際いろいろな自治体などの先進的なホームページを探して操作してみて、いろんなことをすると思うんです。

それが、規格や指針を得ることによって、それに頼ってしまった。すなわち、思考が止まった。

結局、

・市役所側の担当者が何も考えずに(要は入札時のプレゼンで通ったんだから、そのまま任せてりゃ大丈夫でしょ、というノリでは?)制作会社に丸投げ。

・制作会社も特に何にも考えず、従前のコンテンツを「ウェブアクセシビリティJIS」やら「みんなの公共サイト運用モデル」の指針に当てはまることだけを目的に制作を進めてしまった。

・実際に健常者・障害者・高齢者・外国人といったいろいろな層の人に操作してもらうというテストをしていない。

まあこんな感じで全てが進んでしまったのでしょう。

ですから、制作会社だけが悪いんじゃあないと思うんですよ。やっぱり現場、特に市民と直に接する人達がアレコレと口を出すようでなければ、ちゃんとしたホームページは作れないと思うんですよね。

それでもやはり制作会社は、「現場が答えを持っている」という基本的なことを知らないといけない。なんか、技術に溺れて本質が見えていないように見受けられます。

制作会社も規模の大きい会社で、発注者も自治体という大規模な組織なので、今回のようなことが起こってしまうのも無理ないことかもしれませんが。

 

とまあ、これだけ吐いておいて自分のホームページは何やねんと言われれば返す言葉もないわけですが、少なくともクライアントワークでこんな仕事は出来ませぬ致しませぬ。

むしろ、こういう事例を他山の石として学んでいくわけですが、やっぱりスキルに夢中になりすぎるのは良くないな、と再認識。

制作者として、どこまでクライアントさんの「現場」感を感じることができたのかというのが、完成するホームページにはストレートに表れるのだと確信する次第です。

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