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Web制作のTipsとかアレコレ。

何故クラウドワークスはクソ案件の巣窟なのか

2016.02.28

最近こういった件でまたざわついているクラウドソーシング界隈。
クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?

私もフリーランスのウェブエンジニアとしてのスタートを切った当初はクラウドワークスを利用していました。
当時はオープニングキャンペーン的な期間で、受注者が支払う手数料が無料だったので、まだ今よりはマシだったと思います。が、やはり報酬的にはとてもやっていけるものではなかったことは確かです。
具体的には、現在の私的な相場観から考えて、3分の1〜5分の1ぐらい。30万は欲しいな、という案件が6万〜10万ぐらいで募集がかかっている状態かな。今だと手数料が20%とか引かれるので、それが2万円台〜8万円とかになっちゃう。

クラウドワークスはウェブ制作のお仕事を5件ぐらいやっただけで、それ以降は年に数回、スカウトメールが来た時に一応ログインしてみるぐらいです。

クラウドワークスのメリット(笑)と実情

まあ、「クソ」と言っちゃうのも実は本心でもないのですが。

デザインやライティング系の仕事については受けたことないので知りません。
あくまでもウェブ制作系のお仕事について、「何故クラウドワークス(というかクラウドソーシング)はクソなのか」を実体験を元に考察してみました。

まず、クラウドワークスのウェブサイトの「発注をご検討中の企業様へ」というページを見ますと、

・リーズナブル
・スピード納品
・安心のクオリティ

という3つのメリットが挙げられています。
それがそのままエンジニアを殺すことになるのですが。

リーズナブル

いやリーズナブルにも限度があるでしょ。市場相場より2〜3割安ければ十分安いわけで、市場価格の何分の1とか意味の分からない相場が形成されているなんてホントに意味不明です。
・結婚などにより制作会社を退職して家庭に入った元コーダーの主婦が、子どもが手を離れて来たのでちょっとコーディングの仕事したい、ダンナの稼ぎが十分なのでそれほど報酬にはこだわらない
・学生時代に制作会社でアルバイトやインターンをしていたけど就職はしなかった/出来なかった、だけどコーディングは続けていずれ制作会社に就職したい、ちなみに実家住まいなので報酬にはそれほどこだわらない
こんな立場じゃないとキツいです。

スピード納品

納期もタイトな案件が多いですね〜。普通は納期が短ければ報酬は上げられるはずなのですが。不思議です。

安心のクオリティ

いや無理でしょ。マジですか?意味不明に低い報酬と短納期でクオリティに安心感があるって、もしかして神か仏か、そういう人たちがいっぱい登録してくれてるんですか?まず人間界の普通のエンジニアだと、モチベーションが維持できないです。

実情は・・・

これは限られた範囲での体験と聞きかじりによる推察に過ぎないのですが、
あの単価であの納期でマトモなクオリティの納品物が上がってくるって、ちょっと考えにくいです。
「たったの500万円でオシャレな土地付き一戸建てが1週間で建ちます!!」って言っても信じる人いませんよね・・・。
でもそんな売り文句を撒き散らしているのがクラウドワークスだと、個人的には思っています。

以前に「クラウドワークスで発注して納品されたウェブサイトがヒドいので作りなおして欲しい」という内容のスカウトメールが来たことがあります。
そのサイトのURLが付いていたので見てみたらなるほどヒドい。
でも、もしその案件の報酬が5万円程度(受注者には4万)だと考えると、5万円なりの仕事ではあるのかなぁ、みたいな。
ただ、条件を納得した上で受注したならどんなに報酬に不満があっても完遂する義務があるのは確かです。
というか、そもそも僕だったら受注しない。
もちろんその案件は関わりたくないので丁重にお断りしたのですが、噂に聞いていたようなことは本当にあるんだなぁと妙に納得しました。

その他にもよく聞くのは、発注者側からだと「突然コーダーと連絡が取れなくなった」「納期直前や当日になって無理ですとか言われる」、受注者側からだと「納品を受け付けてもらえず支払いがされない」「要件が最初と全然違って、報酬と見合わなくなった」などです。

企業やお店が直接発注する危うさ

では、何故そういうことが起こるのか、ということについてですが、私は「ディレクション不在」という要因が大きいと思っています。

ディレクターがいない

ウェブ制作にはディレクター、デザイナー、フロントエンドエンジニア(コーダー)が最低限必要で、案件によってはインフラエンジニアが必要とされます。
その中で、ダントツに重要なのがディレクターです。(もちろん案件によってはデザイナーやエンジニアがディレクションを担当することもあります。)

で、個人的には、良いディレクションをしてくれるなら総予算の半分ぐらいあげちゃってもいいと思っています。それぐらい重要なのがディレクターで、その采配によってウェブサイトがクライアントの望むものになるかどうかが左右されると言っても過言ではありません。

ところが、一般の企業さんは、デザイナーとエンジニアがいればサイトは出来ると思っていて、ディレクターに払うお金なんて説明しても理解してもらえるとは思えません。「中抜き」ぐらいにしか思われないんじゃないかな。これは一般企業が悪いのではなく、ウェブ制作の素人さんならそう思って当然なのです。

そこに発注者と受注者の間に業務範囲の意識のズレができます。
発注者はウェブ制作の素人ですから、「こうしたい、ああしたい」ということを的確に伝えることができません。クラウドワークスで募集する時に「10ページ程度の普通の企業サイトです」と書いていたけど、実際は管理画面が必要なのでCMSの導入が必要だったり、発注者側で画像素材が用意できないので有料の素材を買わないといけないとか、文章などの原稿もだいたいの草稿しかなくてライティングはしてもらえると思っていたり、お店のパンフレットをスキャンニングしたPDFを送っておけばよしなに計らってくれると思っていたり。

まず発注前に「どういう要件で発注したらいいのか」について、素人のイメージを制作側に伝えることのできる要件に落としこむのがディレクター(プランナーもここに含める)の仕事であり、それがあって初めて制作側は見積もりが出来る、という流れが普通なのですが、順序がアベコベです。
受注者が決まったら決まったで、受注者側は制作だけでなく、ヒアリングから入ってディレクター仕事までやらなきゃならない。
元々受注額が相場のン分の1なのに、そこまでやらなきゃならないとなると悲惨です。

う〜ん、家を建てるのに例えればいいでしょうか。
設計士と大工だけいたら家が立つわけではなく、様々な業者の手配や資材の発注、工程管理などを適切に管理出来て、工事中にもいろいろなイレギュラーに対応出来る人がいないとダメだって感じ?

また、一般企業の人はウェブ制作にかかる時間を知らないで当然です。それが、クラウドワークスの「スピード納品」という言葉を鵜呑みにしつつ他の発注者の募集要項を参考にして、「そうか1週間ぐらいで(デザインからコーディングまで全部)できるんだな」とか思ってしまっても、その企業さんを責めることはできません。むしろ、クラウドワークスがウェブ制作業界全体にとてつもないダメージを与えていると思います。とても迷惑です。
で、そんな納期でヒアリングから開始ですよ。そりゃあマトモなエンジニアなら寄り付きません。

予算と納期がそれなりに確保されていたら何とでもなるのですが。

結局、一般企業を騙しているに等しいんですね。受注者側からすれば「無茶ばっかり言うモンスタークライアントだわ」と思うかもしれません。というか思います。思わざるを得ません。
が、その元凶は、「激安で安心のクオリティでスピード納品してくれますよ」という無茶なことをメリットとして掲げるクラウドワークスが悪いのであって、そこに発注する一般企業もまた被害者なのです。

※ちなみに「クラウドワークスがディレクションをやるよ!」というのを始めたらしいのですが・・・これを経験した知人からは「ただメールを転送するだけの伝言係で、しかもクライアント側の要望をそのままゴリ押ししてくる。頼むからいなくなってくれ!」という声がチラホラ。ヤバいです。

制作会社からの発注案件もクソ

ウェブ制作案件では、制作会社やウェブ制作代理店系からの案件も多数掲載されていると思います。
ただ、やはり激安単価で短納期というのは同じ。
最大の違いは、発注者側がディレクターになるということで、これで幾分マシになります。
(それでもなお報酬が低すぎて請けられるようなものではありませんが。)

制作会社からの案件が短納期である理由

一般に、ウェブ制作会社なら、クライアントとの商談の中で十分な納期を設定しているはずです。
でも、クラウドワークスに掲載されている案件はやはり短納期。

これについては私の推測ですが、おそらくは、

最初は自社内または自社の抱えるパートナーで完成させる予定で請けた案件だけど、他の案件にかかっていてしばらく放置されてしまい、納期が迫っているのに気づいて慌ててクラウドに出した、

そんなところだろうと思っています。じゃなければ納期ぐらいはマトモであるはずです。

そりゃあ緊急で請けざるを得ない案件とかもあるでしょうけど、そんな案件が溢れているなんてことはありません。短納期案件ばかり抱えている制作会社があるとすれば、特急案件専門の制作会社か、リソース管理がマトモにできていない会社かのどちらかです。

ディレクターがディレクションできるとは限らない

で、そういう案件では、発注者側のディレクターの能力が低い、もっと言えば「マトモなディレクションができないレベル」の名ばかりディレクターであることが多いです。恐ろしいことですが、実体験からこれは断言できます。
ようは、「そんなディレクションしてるからクラウドなんちゃらの世話にならなきゃならなくなるんだよ」ということ。

なので、発注者が制作会社だからと言ってマトモな案件だとは言えないのです。

※当然ですが、ちゃんとディレクションしてくれるところもあります(報酬は異常に低いのは同じですが、気持ち的には幾分マシです)。

※さらにフォロー?しておくと、優秀なディレクターなんてそうそういるものではないです。「マトモ」のレベルでもそう多くはないと思っています。それぐらい、難しい仕事だと思ってます。

クラウドワークスだと、「普通」の案件は成り立たない

そういうことです。
普通の納期で、普通の報酬が得られる案件ってのがほぼ見当たらないということは、やっぱり何かいろいろとダメなんでしょうね。

ウェブサイトを作りたい企業さんと実際に作業をするデザイナーやエンジニアの間には、ディレクターが絶対必要なんですね。
もちろん、デザイナーかエンジニアのどちらかがディレクションも兼務してもOKです。小規模案件だとそういうケースが多いですし。

まともなディレクター的思考だと、「この納期でこの予算だとマトモなサイトは立ち上げられんな」という案件に溢れているのがクラウドワークスはじめ大手クラウドソーシングサービスの現状であり、おそらくこの現状は変わらないと思います。

そして、そのような場で受発注が成り立っているという現状をどう捉えればいいのか、私には分かりません。
ただ、中には受注側・発注側ともに満足できるような取引もあるでしょうが、双方共に不幸を感じるような取引も多いのではないかと思っています。
クラウドワークスがディレクションに責任を持ちます!と言っても、ディレクターを育てる大変さを知っていたらそんな言葉信用できるはずがない。

やはり、普通の納期、普通の予算、最低限普通と言えるディレクションがあって初めて良いウェブサイトを作るスタートラインに立てるのです。

クラウドワークスを利用するメリットがある人

でも、必ずしも悪いことだらけというわけではなくて、クラウドワークスを利用するメリットがある人もいると思います。

受注者側

具体的には、
・お金がそれほど必要じゃなくて
・好きな時に好きなだけ時間が取れて
・とにかく経験を積みたい
という人です。
フリーランスのデザイナーやエンジニアを目指している人、ウェブ制作業界への就職を目指している学生さん、時間を持て余している元職の主婦など・・・

それでいいんじゃないでしょうか。

発注者側

どうなのでしょう。
・とにかくどんなのでもいいからウェブサイトを激安で立ち上げたい
・年度予算を消化しないといけないので、必要ないけど何かHPでも作っておこうか

う〜ん・・・

冒頭にリンクを挙げた記事で、「クラウドワークスで月収20万超え」とありますが、クラウドワークスで20万稼げる力のあるエンジニアがクラウドワークスで仕事を受け続ける理由がありません。クラウドワークスに仕事を求めない理由は捨てるほどありますが。

そのあたり、この記事「クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名」は嘘だと思う。に書かれているような状況なんだろうな、と思います。

個人的な状況から察するところでは、現在のウェブ制作界隈は活況かつエンジニア不足で、マトモな仕事が出来る人なら仕事なんて積極的に探さなくてもいくらでも入ってくるわけでして。もちろん報酬は安くしたとしてもクラウドワークスの数倍はある。

やや乱暴な表現ですが、「クラウドワークスで仕事を取る必要のあるエンジニアは、クラウドワークスでしか仕事を取れない水準のエンジニアである」という印象。もちろん全員というわけではないだろうけど。

発注者側としては、話半分としても半分ぐらいはこの点を認識して、覚悟して発注した方がいいのではないかと思います。

その他にも・・・

以上、あくまでもウェブ制作案件についてのみ、ということで書いてきましたが、他のジャンルでは別の側面から気になる情報があります。

クラウドワークスが悩ましい件で(追記あり)

まあ、これは完全にアウトですね・・・。

まあ、いろいろとDisりましたが、「クラウドワークスが何を目指しているのか、全然わかんない。」

と述べて結びとさせていただきます。

Comments

  1. 匿名 より:

    全く同感です。クラウドワークスもLancersもデザイナーで今食べている人にはなんのメリットもないどころか、デメリットしかない。いまはどんな案件があるかのサーベイ用にしか、価値を感じませんね。このようなサービスを国が助成していることも腹立たしい。

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